『うちの機械じゃ、それは取れないと思うわ』
女先生は、
私の顔をちょっと見ただけで、さらりと言ったのです。
呆然としている私に、
『ほかの病院を紹介するわね。
ここならいろんな機械があるから相談してみて』
と、引き出しからパンフレットを出して説明され始めました。
わたしは、
あまりのショックでボー然として。。。一体どうしたらいいのか。
もう紹介状を書こうとする先生に、
『あの、まだそちらに行くかどうかはわからないので考えさせてください』
というのがやっと。
先生、さら~っと、
『そうよね、金額もどれくらいかかるかわからないしね。保険は利かないと思うわ。
HPで先に調べてみるといいわ。
あなたの診断名は●●●だから、それで調べてみて』
と。
何か書いたメモを下さったけど、
私はそれを見る気力もありませんでした。
私は、自分のシミは、
若いころからの紫外線によるものだと思っていたのだけど、
先生によると、そういう表面的なものじゃなくて、
真皮まであるものだから、簡単には取れない、と。
・・・・・
なぜか、そのあとデジカメでシミの写真を撮られました。
治療もしないのに何のために?
と、今になって思う。
たぶん、めったにないほどひどい症例だったのか。
人に見せないでよね。。。
会計は850円でした。なんにもしてないけど。
来るときのワクワクしていた気持ちは吹っ飛んで、
どっと疲れて、真っ暗な気持ちになって、
病院を出ました。
運転しながら、
気がついたら、
ナミダがあふれてきて、
それで、
ああ、悲しいんだって思った。
もう、私には、
シミを消す方法はないのかもしれない。
ずっとこのまま、死ぬまでシミがあるのかな。。。
でも、
そんな泣くほどのことなの?
という気持ちもあって。
余命宣告されたわけでも、
難病が見つかったわけでもなしいし。
昨日までの私が変わったわけでもない。
ばかみたい。
ばかみたい。
あんなに期待してた自分がばかみたい。
ちなみに、
紹介されそうになった病院は調べてみたら
『〇〇クリニック』といって、
私の嫌いなタイプの病院です。
たとえて言うなら「銀座クリニック」みたいな名前で
都会の真ん中の、地下鉄駅のすぐ上で、
HPはゴージャスで、
値段は高いです。
口コミはあまりよくないし。。。
いまなら、あの女医さんに断られてよかったと思える
あの今日の女医さん、
あんな簡単に「できない」とかよそに丸投げとか、
ひどいんじゃ?
と思ったけど、
金儲けしようと思えば、
「シミは取れないかもだけどできるところまでやりましょう」
ということもできただろうから、
正直にスパッと断られたのはよかったのかもしれない。
通っても通ってもよくならなかったら、そのほうが悲しいから。
車の中でさんざん泣いて、
家に帰って落ち着いてから、
バッグに入っていたメモ紙に書いてあった、
私のシミの名前は
ADM でした。
なにそれ?
初めて聞く名前です。